ガッシュのこと

私の担当する絵画教室に参加されている方にはほとんどの方にガッシュ(不透明水彩絵具)を使ってもらっています。

透明水彩をされていた方も多いのですが透明水彩は確かに美しく、魅力があり技術が伴えば透明感のある絵が描けます。

この「技術を伴う」までには相当の本気の練習と、見当をつけて描き進めることができるようになることが必要になります。

それに対して、不透明水彩は見当をつけて描き進めることがすぐにできなくても良い画材と言う感じでしょうか。目指すのは上手な、美しい絵ではなく、自分が描きたい絵を見つけるために描いていくことが目標です。技術は後から少しずつ。

私はむしろ「自分にとって好きな絵」を探すことを大事にしたいなぁ。。と思うのです。

10年やって絵が少し上手く描けるようになるより、ちょっと下手でも好きな絵が描けるようになることを目指したい。。

自分も、そして、私のところに通って来られる方もそうあってほしいです。

技術ももちろん上達はしないと面白くありませんが、透明水彩は色をあまり混色しないで見当をつけて重ねて行ったり、滲ませたりということをうまくできるようになっていきます。
ガッシュはダイレクトに欲しい色をパレットの上で混色して作れるようになっていきます。

ここは大きな違い。

そして、ダイレクトに混色して思い通りの色が作れて、それを画面に置いていって後から何か全体を見るともう少し違うのではないか。。と思ったときにはまたパレットの上でこの色のほうがよかったという色をやはりしっかり混色で作り直して描いて行くのです。

妥協はここにはありません。そこが絵を作る上でとても都合の良いところです。
毎回「ちょっと違うけどまぁ諦めよう」ということを重ねていかない。
それを繰り返すことで、思った絵が段々と早くできるようになっていきます。

このことは透明水彩で技術がある程度ある方にとっても効果的であり、油彩をされている方にも絵作りの大事なポイントです。とても良い影響がありますね。
毎回、絵を作る(完成が見える)ところまで諦めずに描けるのはガッシュの特徴です。

今日は午前中のミカンの会です。
皆さんには上のようなことをお伝えして、今日の時間に実践してもらえたら素敵です。

今日は紫陽花と虫に食われてあまりお行儀の良くない百合、ハマユウ(^^)を持っていきます。

絵はつくるもの。。ですものね。虫食い、そしてりんごや梨の点々、オレンジの商品シールなど、描きたくなかったら消して描きましょう!

風景も鉄塔、電線もですよねー。必要なものだけ描くといいですね。
いらない説明より、空気を描いた方がいいです。対象をよく見て何を自分が描きたいか、最初にそれを感じているはずなのです。大事なのはそれ。それに向かって絵をつくること。

私自身にも言い聞かせたいことです。

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コメント: 3
  • #1

    原田 剛 (火曜日, 14 6月 2022 16:35)

    不透明水彩の難点はパレットに出した絵具はすぐに使わないと固まってしまうことです。その速さは油絵具の比ではありません。何かいい対策はないものでしょうか。

    せっかく先生監修のガッシュセットを買ったのでこれでたくさん絵を描いていきたいですが。

  • #2

    山本佳子 (火曜日, 14 6月 2022 19:07)

    原田さま

    コメントありがとうございます。

    先日も、初めて教室に来られた方より似たようなご質問がありました。

    透明水彩の絵具にはのりの役割をするものが多く含まれています。
    ガッシュは顔料が多いため、パレットに出したまま固まるとポロポロと取れてしまう色もありますし、中には溶けにくい色もあります。

    溶けにくい色と乾くと取れやすい色はたっぷりと出したままにしない方が経済的。
    その都度、必要な分だけ出して使うようにしています。
    ガッシュの場合、使う色はたくさん使いますので固まった色を溶かすのではじれったくて仕方がありません。

    たくさん使わない色は固まっていても良いのだけど、よく使いそうな使う色は固まったパレットの色をゴシゴシと溶かして使うのではなくチューブから出した絵具を惜しみなく使います。

    私の絵具セット中の特にパレットから乾くと取れやすい色は例えば黄色の2色。これは顔料の多い綺麗な色です。のりが少なく顔料の多い絵具だから取れやすいのです。だから美しいとも言えます。

    溶けにくい色はオペラ。そのほかの色はたくさん使わなければバレットに固まった状態で使います。
    (セットの中にはありませんが、他にも溶けにくいものはリーフグリーンとか、試しに使ったことがあります。プラスチックみたいに溶けない。その都度足すべき色ですね。使うなら似た色にカドミウムグリーンペールがあり、こちらの方が固まっても溶けるので良いです。)

    ガッシュはその日に描くモチーフと対峙した時、この色はたっぷり使う!という色をまず見つけて、その都度出して使ってみてください。
    カドミウムイエローは汚れるといけない綺麗な色ですし、私はたくさん出しません。必要に応じて出すたくさん出さない色としています。

    全て同じ溶け方ではないし、描くたびにパレットから取れていると、困りますものね。

    少しでも参考になったら幸いです。

  • #3

    原田 剛 (水曜日, 15 6月 2022 21:42)

    なるほど。不透明水彩には絵具の使い方においてそこそこ難易度の高いノウハウがあるわけですね。あらためて、どんな画材にも一長一短があることを思い知りました。