不透明水彩は純粋に絵を描ける

8日の日曜日、京都に行ってきました。

画像は、デモで格好の悪い、修正、修正をしているところを見ていただいたもの。

皆さんと一緒に四苦八苦。少しだけ絵になったかも。

ありがたいことに、また来てほしいということになり、7月8日(日)に2回目の約束までしてまいりました。

 

不透明水彩の魅力を知ってもらいたくて。

絵を描くって、なんのために描くのでしょう。

楽しいから…

 

なぜ楽しいんでしょう。

自分が描きたい絵を描ける可能性を秘めているから。それを追求したいから。

色について、構図について、そのモチーフ自体の雰囲気や、魅力を自分で表現できる可能性があるから、何とかしようと絵を描きます。

 

ですが、絵を描くとき、自由にならないし、挫けてしまいそうになるのが、画材を使って描く時の技術であったり、乾くのを待つ時間だったり、そうではなかった…と思ったときに直せなかったりするそのストレスです。

 

不透明水彩はそのストレスが一番少ない。

どこをとってみても優秀な優しい画材なのです。

 

絵を描きたいと思う、それはその時に感動があるから、ひらめきがあるからです。あ、これ描きたい。あ、素敵、このモチーフ描いてみたい。頭に何となく浮かんだ完成した絵があるうちに描いてしまえたら、どんなにいいでしょう。

制作時間が長くなると、ぼんやりと頭に出てきた理想の絵や新鮮な感動、そして、花なら姿、風景ならもっと刻々と変化する…思っていた絵の構想も描く対象も最初の姿とは違ってくる。

 

一枚の絵にかける制作時間は短いに越したことはない。

小さな作品なら描きたいと思ったら、すぐにその描きたかったものを絵にしてしまえるほうがいいに決まっています。

 

ところが、困ったことに油彩なら、描き始めて一通りキャンバスを絵具が埋めたら、次に乗せる色は下の色を巻き込んでしまう。その下の色が混ざった色はパレットでせっかく作った色を変えてしまいます。当然鈍くなる。こんなはずではなかった…ということになる。そのまま描き進めることもできるけれど、最初に思っていた感動はどうだったのか、キャンバスの上を撫でまわすうちにわからなくなります。何とかしなくてはと焦るけれどもパチッと決まることはそう簡単でない。

濁らないようにするためには的確な色をちゃんと間違わないで置くか、計画して、下に置くべき色を置いた後は我慢して、いったん数日筆をおいて乾かしてから、2回目、そしてその後もそれを繰り返し加筆をしなくてはいけません。そしてたいていの場合、1回目の描画は2回目に加筆するにちょうどよいところで終わるのは難しい。

 

透明水彩の場合はやはり、乾く時間を待たないといけない。そして残すべき明るいところを塗ってしまうこともある。そうすると気になって、そこでいったん絵を描くことをやめて洗ったり、またそれを乾かして、そろりと間違わないようにやり直す。勢いも何もない最初にはあったタッチとは違う自信のない手で間違わないように塗り絵をする。そういうやり方では全体が生き生きとしたものでなくなってしまいます。

 

不透明はまたなくてよい、すぐ乾きます。

間違ったところを何度も撫でまわしたとしても、それは油彩より濁らないし、油彩1枚で苦労する時間でもっと枚数が描けるので成功する絵も増えます。失敗もあるけどそれは修練につながります。

絵は枚数を描くことと、それに加え描きたい絵にしていく過程が大事です。直して、直して、何度も修正して、自分の描きたい絵に近付けます。

それを繰り返していると度胸がつく。そのうちに修正しなくて済むような手も増えてきます。一度で決まるところが増えるとその絵は生き生きとして見えるのです。

間違いが減る。感が当たる。筆致に勢いが出る。そして、使う絵具の混色の練習、全体のバランスを見る練習、間違ったところをあきらめないで修正する練習、すべてにおいて絵を描くために必要な修練の積み重ねができるのです。

絵を描くのを練習することは決して技法の上達のためではありません。

技法の練習ばかりして、絵を描く楽しさを忘れる人まで出てくる。それはとても悲しいことです。何のために絵を描いているんだっけ?

 

技法の上達は絵の楽しみの後からでもいいし、そんなものはついてくるならついてきたでいいけれども本来の目的は思うような絵を描けるかどうかなのです。

 

不透明を使っているとおまけのように、透明水彩もうまくなります。間違いが減るから。。色は濁らないようになるし、描くのも早くなる。思ったように手が動く。

戸外でも透明水彩をうまく使ってスケッチできるようにもなるでしょう。

 

普段の不透明水彩で純粋に自分の絵を描くための積み重ねをしていると自分の絵を描くことに気持ちが向いていきます。

絵を描くことは何が楽しいのかが、はっきりと感じられるようになるのです。

 

そんなことをお伝えしたくて、京都に行ってきました。

まだ最初の1回。NHK文化センター京都教室では不透明水彩の講座はいままでないようです。私が初めてでした。

 

小学生で使う絵具は不透明水彩です。残念なことに本人で気が付く以外はその使い方を知って使うことなく、不透明水彩を卒業します。鉛筆で描いた下絵を塗って終わり。絵具をつけるときに間違いに気が付いてもそのまま…

そして自分の絵が描けたという思いでもなく卒業します。大人になって、あの絵具はもう使ったことがあるし、どうせならもともときれいな透明水彩のほうが水彩らしくて美しい絵が描けそうだからと高級な透明水彩に移ります。

ところが、なかなか難しい。絵を描くことに慣れていないのにいきなり、高価な絵具と高価な水彩紙。間違うと濁るし、描き損じると修正しにくい透明水彩。絵を描くこと自体に手間取るのです。濁り、暗くなって途中でくじけてしまった絵がたくさんできます。

 

透明水彩自体は非常に素晴らしい画材です。

うまく使えれば最高に透明感のある、美しい絵が描けます。

そのためにまず、たくさん絵を描く必要があるのです。

間違いを恐れて竦みながら描く、また、間違っては一生懸命その絵具を洗う…その時間がもったいない。

 

描きたい絵がいくらでもあるはずです。枚数をもっと描きましょう。

季節の花を描きたいと思ったら、春夏秋冬、1枚ずつ描いていたのでは4枚しか描けません。季節ごとに10枚でも20枚でも描きたい花はあるはずです。人物も、風景も!

はーーー、熱くなってしまいました。一人でもたくさんの人に自分の絵を気持ちよく、たくさん絵を描いてほしいと思います。

 

15日の日曜日はNHK文化センター高松教室です。

こちらの教室はまだ空席があるようです。

不透明水彩のことをまた、お話しし、デモンストレーションをしながら、皆さんと楽しく絵を描こうと思います。

ぎりぎりまで募集をしていただいていますので、お近くの方はどうぞご参加ください。

 

NHK文化センター高松教室

電話番号087-823-6677

 

 会場:香川県高松市浜ノ町1-20 JR高松駅  COM高松3F

 

 

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コメント: 3
  • #1

    絵好きオバサン (木曜日, 12 4月 2018 09:46)

    時折拝見させて頂いてます。小学生の頃描いていた絵の具ですよね。当時は判らないまま使っておりましたが、不透明水彩のお話しを読むとき
    又描いてみたいなと思いました。すっかり忘れていますので大阪で講義をされる機会を願っています。

  • #2

    山本佳子 (金曜日, 13 4月 2018 09:23)

    絵好きオバサンさま

    ありがとうございます。
    そうです。小学校の時、ちょっとだけ描いて面白いかどうかまだわからないうちに終わってしまっている絵具です。
    ぜひ、描いてください。
    そうですね、以前、このブログにはどこの方が何人くらい見てくださっているかを表示されていて、それを見た時大阪の方にこのブログを読んでくださっている方が多いのに驚きました。
    大阪にもぜひ、また近々知っていいただける機会をいただいてまいりたいと思います。その時はどうぞよろしくお願いいたします。

  • #3

    F.Tokuda (金曜日, 13 4月 2018 13:45)

    大作・・まるで不透明水彩画の啓蒙書のようですね。
    私は誇りに思っています。5年前先生の門戸を叩いて以来、お薦めに従って不透明水彩画一筋に進んでいますので。改めてこんな素晴らしい画材だったのだと感激です。時として透明水彩のようでもあり、油絵のようでもあり、多彩な絵にチャレンジできるのがいいですね。まだ未熟ですが、一生不透明水彩画を楽しんで参りたいと思います。